カミナシ エンジニアブログ

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Observability Conference Tokyo 2025で登壇しました

はじめに

カミナシでID管理・認証認可基盤を開発しているmanaty(@manaty0226)です。

先日行われたObservability Conference Tokyo 2025に出席し登壇しました。カンファレンス運営の方々本当にありがとうございました。当日までのサポートはもちろんのこと、登壇前の準備も丁寧に説明いただき、リラックスできるようお気遣いいただいたので楽しく登壇することができました。また、当日聴講していただいた方々、ask the speakerに来ていただいた方々や懇親会でお話させていただいた方々もありがとうございました。

本記事では登壇で話したことや、他のセッションを聴講した学びなどを残したいと思います。

登壇で話したこと

私のセッションでは、「オブザーバビリティと共に育てたID管理・認証認可基盤の歩み」というタイトルで、カミナシのID管理・認証認可基盤の立ち上げからこれまで2年間のオブザーバビリティの実践について話しました。

私自身はこれまでSREのような職種で働いたことはなく、ソフトウェア開発者として働いてきたため、本カンファレンスのようなオブザーバビリティに特に興味を持つ方々に向けてどういった話をすると学びを共有できるのか当初は悩みました。しかしながら、ソフトウェア開発者の立場でどのようにオブザーバビリティを捉え、実践してきたかを伝えると、開発者としてこれからオブザーバビリティを高めようとされている方だけでなく、普段SREとして専門的に取り組み開発者と協働している方々にも新しい視点を伝えられるのではないかと思い、発表における一つの軸としました。

弊チームで毎週実施している、パフォーマンスやエラー、コストといった観点を踏まえてチーム全体でテレメトリを確認するサービスレビューの仕組みや、ユーザーの操作エラーに対してもテレメトリを収集してユーザビリティを高める試みなどは、ask the speakerや懇親会にて質問があったので期待どおり伝わったことが嬉しく感じました。

speakerdeck.com

また、発表で一番伝えたかった、カルマンが拓いた制御理論とオブザーバビリティとの概念的な相関と「Software Engineer as a Kalman Filter」という主張を整理して発表できたことも良かったですし、別の登壇者の方ともオブザーバビリティについて同じ理解で盛り上がったことも大変嬉しかったです。

いつまでも擦り続けたい、このスライド

他のセッションの学び

オブザーバビリティが育む開発者のシステム理解と好奇心

登壇者:LINEヤフー株式会社 Toshiya Kato(@maru)さん

DevOpsのサイクルの中で、オブザーバビリティスタックがOpsサイクル側で拡張されることにより、Dev側の開発者が障害発生時などで使い慣れないツールとなってしまうという課題感から、例えばPRごとに負荷試験環境を簡単に作れるようにして、Devサイクルの中でオブザーバビリティに触れてもらうという取り組みは面白いと思いました。このセッションだけでなく、何人かのSRE職の方とお話させていただくと、オブザーバビリティを高めるための基盤や技術を如何に開発者に届かせるか悩まれている方が多い印象でした。また、登壇者のmaruさんもオブザーバビリティとは内部状態の理解という話をされており、懇親会でも意気投合しました。

オブザーバビリティが育むシステム理解と好奇心 - Speaker Deck

AIスパコン「さくらONE」のオブザーバビリティ

登壇者:さくらインターネット研究所 Yuuki Tubouchi(@yuuk1t)さん

さくらインターネット社で提供されているAIスパコン「さくらONE」におけるオブザーバビリティの取り組みについて話されていました。私達が普段扱うWebサーバーとGPUクラスタで構成されるAIスパコンは、必要とされる要件が全く違うため前提条件が分からないながらも、システムが扱うスケール感や多数のGPUノードを使った学習処理におけるボトルネックについて面白く伺うことができました。登壇者のyuuk1tさんは私と同じく社会人になってから博士号を取得された方で、前日のスピーカーディナーや当日もPh.D.トークで盛り上がりました。

スライドに出てくる構成図のスケールがとにかく全て大きい

AIスパコン「さくらONE」の オブザーバビリティ / Observability for AI Supercomputer SAKURAONE - Speaker Deck

おわりに

普段参加するカンファレンスとは少し技術分野が異なっていたのでやや気負うこともありましたが、運営の方々の温かいサポートもあり楽しく過ごすことができました。また、色々な会社のSREの方とお話しさせていただき、開発者自身が自律的にオブザーバビリティについて考え実践するカミナシのエンジニア組織文化は強みだと感じました。

カミナシではユーザーに価値を届けるため、オブザーバビリティも含めてあらゆる領域に手を尽くすソフトウェアエンジニアを募集しています。ご興味がある方はカジュアル面談にお申し込みください。