カミナシ エンジニアブログ

株式会社カミナシのエンジニアが色々書くブログです

スクラムマスターとしてのファシリテーションスキルをAIで爆上げするテクニック

おはようございます。カミナシでシニアマネージャーを担当している daipresents です。 ついにクロール25mで娘に負けそうになってきました。子どもの成長はやすぎですね。

自分の部署にはもうひとりエンジニアマネージャ(EM)がいるのですが、おたがいに1on1やファシリテーションでチームにかかわることが多いため、「お互いにスキルアップを目指そう!」と話しています。

年末なので「特訓は来年がんばろう」と意見が一致しているのですが、年内はAIを使って自分たちのファシリテーションスキルを高める方法を試しています。

自分のファシリテーションをAIに評価してもらおう

1on1の場合、自分のスキルを手っ取り早くたかめるいい方法は、「1on1後に、相手と振り返りを行う」だと思っています。これによって、相手から直接フィードバックが得られ、改善を次にすぐ活かせるからです。このサイクルをがんがんまわせば、半年ぐらいでかなり力がつきます。

この方法をもっと簡単にできるように、1on1やファシリテーション内容をAIに評価してもらうGemを作ってみました。

Gemのカスタム指示に以下のように入力します。

# 前提
あなたは会議のファシリテーターを育成する講師です。

まずは、 コーチとコーチングについては、ICFのサイトの情報をベースとしますので以下を読み込んでください。

1. コーチングについて: https://icfjapan.com/coaching
2. プロコーチの能力水準: https://icfjapan.com/competency
3. プロコーチの倫理規定: https://icfjapan.com/icf-code-of-ethics

# 資料
## ファシリテーション
ファシリテーションについては、添付の「トレーニング: チームが自走するためのコミュニケーション入門 」ファイルを参考にしてください。

ファシリテーションのポイントがまとめられています。

## コーチング
コーチングについては、 https://icfjapan.com/pccmarker からダウンロードしてきた、添付の「PCCマーカー」を使ってください。
PCCマーカーは、ICF本部より2024年5月に認証を受けている最新版です。プロコーチの振る舞い方がまとめられています。

## コミュニケーション
トレーニング: チームが自走するためのコミュニケーション入門.pdf

とくにファシリテーション技術の「よりよい場を作るための9つのルール 」は、ファシリテーションのチェックに使えるはずです。

## スクラム
スクラムガイド 202011.pdf 

スクラムマスターとしての振る舞い方も確認してください。

# 作業
ファシリテーションログが入力されます。入力されたログを元に、資料を使って評価を行ってください。

# 評価方法
## ファシリテーション評価
1. 資料をもとにファシリテーターとしての振る舞いを評価してください。

## コーチング評価
1. ICFは推奨していませんが、PCCマーカーは、チェックリストのように使うことができます。
2. 特にコンピテンシー3 から 8に関しては、ログを参考に、「項目を満たしている部分があるか」を評価します。
3. 最終的に項目数のうち、満たした項目と、満たしたと判断した文字起こしの発言を表形式でまとめてください。

## スクラムマスター評価
スクラムガイドにあるスクラムマスターの役割と責任をもとに、ファシリテーターのスクラムマスター力をチェックしてください。

いい点、改善点をまとめて、次のふりかえりなどで活かせるアドバイスが欲しいです。

## 総合評価
### 発言割合
ファシリテーターの発言割合を出してください。

> 例: ファシリテーターの会話の割合 10% : それ以外の参加者 90%

### 総合評価
ファシリテーション面、コーチング面それぞれ50点満点(合計100点満点)で評価してください。

ファシリテーション、コーチングそれぞれで強味と弱味に分類し、改善が必要な部分があればアドバイスが欲しいです。

知識として、以下のファイルを添付します。

ひとつめは、PCCマーカーです。これはプロコーチのふるまいをまとめたものになります。プロレベルのコーチング試験では、試験管試験官はこのマーカーを使ってふるまいをチェックします。よって、マーカーをもとに自分の発言内容を確認できるようになります。

ファシリテーションにおいて、コーチングは必要ありませんが、参加者が課題にのめりこむ場を作るうえで、コーチングはいいツールだと感じています。

ふたつめは、「トレーニング: チームが自走するためのコミュニケーション入門 」とあるのですが、これは秘伝のタレのようなもので、アジャイルコーチの仕事をしているときに作成した、コミュニケーショントレーニングの資料です。

ここでは公開できない資料なので、「ファシリテーションのポイント」などをAIにまとめてもらってインプットにしてみてもいいと思います。

みっつめはスクラムガイドです。

これで準備はバッチリです。1on1やふりかえりの場では、文字起こしツールを起動しておきましょう。

評価の例

チームのふりかえりログをもとにAIに評価しいてもらうとこんな感じになりました。内容はブログ用に固有名詞をなくして、内部情報もふんわりした表現にしてもらっています。ほんとうはもうちょっと詳しく出力してくれています。

実際のふりかえりに参加したので、僕の評価を加味すると、総合評価83点は及第次第点ぐらいに感じています。

発言の量については、いいバランスでファシリテーションできているようです。

強みや改善ポイントも洗い出してくれています。このあたりは自分がフィードバックしようとしていた内容とかぶる部分もありました。

1on1のログを分析させると以下のような結果になりました。

2. 総合評価とアドバイス
強み (Strengths)
「メンター」および「マネージャー」としての関わりは極めて優秀です。

心理的安全性 (Comp 4): 冒頭の雑談や、「準備運動しといて」といったジョークを交えた入り方は、部下がリラックスして話せる雰囲気を完璧に作っています。

ティーチング能力: XXXさんの悩み(改善タスクが進まない)に対し、他チームの事例や、スクラムの原理原則、エンジニアとしての心構え(DRY原則など)を引用して視座を引き上げています。これは組織のリーダーとして非常に価値のある行動です。

改善が必要な領域 (Area for Improvement)
今回のログは、コーチングセッションというよりは**「技術相談 & 業務連絡」**に近いです。これを「PCCレベルのコーチング」に近づけるには、以下の転換が必要です。

できている点と、できていない点を正確に分析してくれます。これを1on1のログに追記して、次の1on1にすぐ活かせそうです。

最後に、スクラムマスター度合いも見てもらいました。

# 評価ポイント
## イベントのファシリテーション
レトロスペクティブの目的である「品質と効果を高める方法を計画すること」に集中できています。ポジティブな点(Like)だけでなく、課題(Lack)もしっかり扱い、改善策(Action)まで導いています。

## 障害物の排除
チームの進捗を妨げる障害物を明確にし、解決に向けた話し合いを促進しました。

## 自己管理の支援
解決策をファシリテーターが一方的に決めるのではなく、チームメンバーに意見を求め、チーム自身で解決策を見つけるよう促しています。

おわりに

コーチングやファシリテーション、1on1のスキルは、一見やればできることが多いですが、実はそれぞれ奥が深く、難しいスキルです。

これは「スクラム」にも似ていて、やるのは簡単だけど、効果を感じ取れるようになるには練度が必要になる感じ。

とくにファシリテーションなどは、体系的に勉強した人も少なく、「なんとなく場がまわる」にしかならないケースも多く見てきました。

しかし、ファシリテーションに活かせる技はたくさんあって、活用することでよりよい場を作れるようになります。

地道にトレーニングなどに参加する手もありますが、せっかくAIを活用できる時代なので、今回のように活用してみてもいいのではないかと思います。

おためしあれー。